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(29)14-1平成25年度 交協連主催交通事故防止標語・体験記・児童画募集応募作品から平成25年度 交協連主催交通事故防止標語・体験記・児童画募集応募作品から体験記の部 優秀賞みんなのために配送環境の整備を(株)HI-LINE 山領 康成私も約10年前までは配送をしていましたが、現在は現場を離れ、業務を管理する仕事をさせてもらっています。配送をしていた頃は自分の事業所のことしか知らなかったため、身近でこんなに多くの事故が起こっているとは思いもしていませんでした。事故報告書ベースではありますが、他社の事故事例はたくさん見てきましたし、残念ながら当社の事故事例についても、実際の現場、事故報告書、対策書もたくさん見てきました。また、安全管理室という部署に所属していた時代には、事故を起こしたドライバーから直接聞き取りをしたことが何度も有りました。事故を起こしたドライバーは全員が反省し、心から悔やんでいると感じます。彼らから事故のことについて聞き取りをすると、自分が悪かったと思う点を幾つも話してくれます。また、事故報告書を見ると「車間距離が問題であった。」「運転技術が問題であった。」「居眠りが問題であった。」「後退確認が問題であった。」などという、本人の証言も含めて、ほとんどのドライバーが反省すべき点ばかりが並んでいます。ルールとして決められていたことを守らなかったゆえに、事故を起こしてしまったというのが直接の原因であることは確かかもしれません。何の理由もなしに、単なるドライバーの怠慢だったという事故も当然有ると思います。しかしながら、そのルールを守れなかった原因が何なのかを考える必要がある事故もかなり多いと思います。 ルールを守れなかった原因を聞いてみて、「納品時間が気になって焦っていた。」「駐車する場所に戸惑っていた。」「早く到着しないとオーナーさんに叱られるので気になっていた。」「ずっとひとりで配送してきたので自分の運転に問題があると思っていなかった。」などというドライバーの回答を聞いてどう思うでしょうか。そんなのは言い訳だという一言で済ませることができるでしょうか。私はできないと思います。 効率を求めすぎて机上の計算だけで無理な納品時間の設定になっていないか、駐車場がない店舗では安心して納品できる駐車場所の確保ができているか、無茶を言うオーナーさんに対して本部からは注意して下さっているのか、運転が漫然化しないように定期的に個別の安全指導教育ができているのかなどを確認して、それが間接的な原因になっていないのかを確認する必要があると思います。事故については、事故を起こしたドライバーの原因だけが取り上げられ、ドライバーを取り巻く配送環境については一切触れられないことが多いと感じます。また、仮に触れられたとしても、その間接的なことについては、「仕方ない、これが現状だから」で終わっていることも多いのではないかと感じます。当社のドライバーが被害事故にあって入院したため、お見舞いに行ったときのことです。彼が入社した当時、私は初任運転者教育の中の「会社の説明」「守るべきルール」等について講義を担当していました。その中で言った言葉を彼はしっかりと覚えており、病院のベッドの上で、「コンプライアンスという言葉をはじめて教えてもらい、しっかりと守って配送をしなければいけないと常に心に思って続けてきました。しかし、時には違法とはわかっていても路上駐車をし、危険や矛盾を感じながら配送しなければならないことも多々ありました。しかしそれでも辛抱して配送に励んできました。当然、私だけではありません。多くのドライバーが矛盾を感じていても頑張って配送をしているのです。ですから、他のドライバーのためにも、どうか安心して配送できる環境づくりをしてやって下さい。」と言い、それ以外に、彼は会社や荷主に対する不平不満を一切言うこともありませんでした。私には彼のこの言葉が非常に重く心に突き刺さりました。事故を無くしていくために、安全な配送環境を構築していくことは非常に重要なことであると思います。そのためには様々な問題点を改善していかなければならないと思います。賃金水準の低さや人員不足が起因する労働時間の問題、中小の運送会社では満足した安全教育ができていない問題、毎日納品があるにも関わらず駐車すべき場所がないという問題等々。これらを解決するためには、すべてがそうであるとは言いませんが、もうそろそろ国が真剣になって「末端で苦しむ運送会社の実態」を見て見ぬ振りせず、国として、荷主への配送環境規制、運賃規制等を明文化し、ドライバーの地位向上や、運送会社の保護を図るべきところに十分来ていると思います。遅すぎるとさえ思います。国民のための事故撲滅と、日々安定して国民がモノを得ることができる国にするために是非適正な規制を!自動車共済・自賠責共済はぜひ近畿共済でご契約を近畿共済は貨物自動車運送事業者が相互扶助の精神のもと、組織された共済組合です。お問い合わせ・連絡先 京都事務所(075-671-1894)まで

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